こんばんは。
今回は私が人生で最も読んでいる小説であり、大好きなアニメでもある「有頂天家族」の感想文です。
有頂天家族あらすじ…京都に住む狸、下鴨矢三郎は人間に化けるのが大好き。毎日を面白おかしく生きる彼の周りには、威厳漂う天狗と人間、そして愛する家族。京都を舞台に繰り広げられる狸と天狗と人間の三つ巴。少し不思議で時に切ない、ふはふはの毛玉が贈る、極上狸ストーリー!
「有頂天家族」は有名な森見登美彦先生の小説で、アニメ化もされています。
私が初めて読んだ森見先生の作品がこちらでした。
ストーリーは主人公の矢三郎視点で進んで行くのですが、森見先生の素晴らしい文才で書かれたセリフ回しに夢中になりました。
セリフも例えの表現も逐一面白く、狸と言う文字のついた造語もオリジナリティーと可愛さに溢れています。
この作品は主人公の矢三郎はじめ様々な狸が出てくる狸の物語ですが、人間もまさかの天狗も出てくる不思議なストーリーになっています。しかし難解な部分はなく、さらっと理解できるのでおすすめ。
話の展開としては、京都に生きる狸達は時に人間に化けて、天狗達は山や地上で暮らし、狸は天狗を敬い人間の行事を楽しみ平和に暮らしている。
しかし金曜倶楽部と言う人間の集まりが、毎年年末に狸を鍋にして食べるとんでもない風習を持っていて、矢三郎の父も鍋にして食べられてしまった。
残された下鴨一家は父を想いながら各々生きているが、今度は鍋の具として母と兄が捕まってしまう。そこから発覚する父の死に隠された真相とは…と言った感じ…上手く纏まってませんが…。
初めて読んだ時は狸と天狗って珍しい組み合わせだな〜と思ったのですが、京都は天狗にゆかりがあると知って納得。確かに鞍馬寺は聖地とあって天狗だらけですもんね!
有頂天家族には天狗は欠かせない存在です。自分以外の全ての者を見下し、傲慢に威厳を発揮する性分に描かれていて、その中でも矢三郎の師である赤玉先生は主要キャラクターの一人です。
天狗が狸達の先生として授業をしている設定が可愛いですね。
矢三郎は京都に暮らす狸で、母、兄二匹、弟一匹と言う家族構成で、幼い頃からの師匠、赤玉先生の面倒を見ています。先生のアパートに通うシーンで枡形商店街が登場しますね。京都の観光地らしからぬ場所が出てくるところも魅力だな〜と感じました。
そして家族全員とても魅力あふれるキャラで面白い!母は宝塚が大好きな愛情深い性格で、長男は真面目で責任感が強くそのくせ土壇場に弱い性格、次男は呑気でやる気がなく、しかし悟っていて。末っ子は純真で化学を愛する少し臆病な甘えん坊。
そして矢三郎は面白い事を愛するボヘミアン狸。
他にも様々な狸が登場しますが全員可愛く面白く、愛すべき毛玉達です。
そしてもう一人重要なのが、人間である弁天と言うキャラクター。
彼女は人間なのですが、赤玉先生に見染められ天狗の力を手に入れ、人間と狸と天狗の世界を好き勝手に生きる、わがままな性格ですが子供みたいで可愛らしい女性です。
矢三郎は昔この弁天に惚れ、二人で赤玉先生を陥れた過去があり、赤玉先生の面倒を見ていると言う設定があります。このあたりはアニメであまり詳しく説明されないのでアニメだけ観ると理解できない部分があるかも?アニメを観る人は原作をはじめに読む事をおすすめします。
アニメはとても綺麗に忠実に作られていて、主題歌や音楽も素敵!
声優さんも豪華だし、個人的にすごく嬉しいのがキャラクター原案が久米田康治先生なところ!大好きな小説家と漫画家がタッグを組んだようで非常に嬉しい。
セリフも原作通りなとこが多く丁寧に作られたアニメです。しかしやはりセリフだけでは足らない設定もあると感じたので、原作を読んでからの方が絶対面白いと思う!どれだけ丁寧に作られているか実感できると思います。
私がこの作品で大好きなところは沢山あります。狸の可愛さ、話の面白さ情緒さ、京都の街並みをそのまま使い聖地巡礼ができるところ…そして一番はキャラクターの性格です。
とくに矢三郎は素晴らしい。
ルールに縛られず自由でしかし礼儀を忘れず柔らかく。あらゆる困難をふはふは乗り越える柔軟さに憧れます。
矢三郎は家族や狸達、天狗、そして父を鍋にして食べた人間である弁天と淀川教授と言う人間とも仲良くしているんですよ。
種族の違い以前に仇とも言える相手と仲良くできる視野の広さよ。
この作品は家族がとても大事に描かれている分、父の仇は絶対に許さないスタンスかなと思ったのでそこが意外でした。
己がどう生きるか、生きていく限りそれぞれ役割があり、それを否定しない。
そう言うのってとても大事なんじゃないかなとしみじみしました。
私は幼い頃から京都が好きで憧れの地でしたが、この作品を知ってから以前とは比べようもないくらい京都に行く機会が増え、ぐんと詳しくもなりました。
有頂天家族に登場する場所はとても多いので、背景だけ見ても「あっここ行った事ある!」と嬉しくなったり。
聖地巡礼も沢山していますが、ゆかりの場の関係者さんが皆さん有頂天家族を愛しているんだなぁと感じる事が多く、毎度ほっこりします。初めて聖地巡礼した時は有頂天家族が京都の特別親善大使に任命されていたので賑わっていましたよ。
ふらっと立ち寄った場所でも原作本が飾られていたりして、見つけると嬉しい!
有頂天家族はセリフが逐一素敵なので、京都のあちこちで呟いて遊んでいます。
自分を救うセリフや人生のあらゆる場面で力になってくれるようなセリフが多いので、気に入ったセリフを覚えるのも楽しいと思う。
狸達のファンタジーな日常、京都の街並み行事を不思議に描く世界観、暖かく切なく情緒漂う家族愛、全てが大好きな作品です。
三部作のうち二部まで書かれていて、両方アニメ化されています。最終巻が楽しみですね〜。一部と二部の間が数年あったようなので気長に待ちます。
きっと一部二部を何度も楽しんでいるうちに数年経つんじゃないかな?
二部の感想文も改めて書こうと思っています。
今回書いた感想文もあまり上手くまとめれなかったので、一話ごとに書こうかなと企み中です。まだ読んでいない人にネタバレにならないよう気をつけつつ…。
↓ふはふはな毛玉を撫でる気持ちで押していただけると嬉しいです。