晩上好。
ご挨拶の記事はさておき、記念すべき第一回目の投稿として、私の大好きな作品の感想を記録したいと思います。
我が絵描き人生に最も多大な影響をもたらす私にとっての神様、
高橋葉介先生の「学校怪談」より、第一話「潜むもの」について。
「学校怪談」/各話10p程度の短編学園ホラー漫画。途中からギャグやキャラクター同士の人間模様も描かれるが、初期はバッドエンドが多く、ホラー色の強い内容になっている。
高橋葉介先生と言えば1970年代から、現在も活躍されている大先生ですね。私が初めて読んだ高橋先生の作品が学校怪談でした。
表紙の山岸くんを見て、なんて可愛い絵柄なんだろう!と感動した後、一話の扉絵から強烈な衝撃を受けた。
なにせ、下駄箱を開けたらその中にクラスメイトが身体をグニャグニャに曲げて入っているのだもの。
見るからに人間じゃないじゃん、と言いたくなるそのクラスメイトは、学校に行けばいじめられるし、行かなければ親に責められると言って、主人公の山岸くんの下駄箱に隠れている。
可愛い絵柄でとんでもない内容と絵面なんですよ。
驚いたのは、山岸くんが動じないとこ。
通常何か展開があった時、読者の立場になって驚いたり状況を説明するため行動したりするはずのキャラクターが、全くそんな言動をしない漫画を読んだのが初めてだった私(読んだ当時17歳)は、衝撃を受けたまま夢中で読みました。
グニャグニャの身体のクラスメイトは、下駄箱からズルズルと這い出て肉を食べ、どんどん怪物のように変化して行く。
最終的な目的として、自分をいじめた奴らへの復讐がある訳ですが、山岸くんは淡々と協力していて、人として説得するとか、恐怖を抱いたり被害を受けたり経過を追って謎を紐解いたりしない。
ホラー漫画なのでそう言う構成も十分ありでしょう。
しかし、いわゆる怖いだけの後味の悪い漫画じゃないんですね。
怖いけど、ものすごい魅力がある。
手頃にホラーを味わいたい時に見る、そう言う作品ではない。
第二話に続くかと思えば、基本一話完結の漫画なので、同じ山岸くんでも各話地続きではなく、一話の山岸くんとクラスメイトがその後どうなったかはわからない⋯キャラクターを売りにする訳ではないけど、キャラクターに魅力があり、王道の展開ではないけど非常に面白い、素晴らしい作品です。
少年漫画ばかり読んできた私にとってこの作品、とりわけこの一話はすごかった。(学校怪談も少年誌ですが)
ギャグ漫画でもないのに第一話が10p程と言うのも新鮮でした。なにせそれまでは第一話40p以上ある物ばかり読んでましたから。
こんなに少ないページ数でこんなに印象的な漫画が描けるなんて!しかも、絵がとんでもなく素敵!と、一気に高橋先生のファンになりました。
高橋先生の作品は、パラパラめくった時に、えっ!?と目を引く絵がそこかしこに詰まっていて、構成力と演出力と画面の作りが素晴らしいんですよ。
この一話は扉絵から一体なんだ!?と気になると思う。
絵で見ると結構怖いので、ホラー苦手な人は別の話から読んだ方がいいかも⋯
今でも下駄箱を見ると毎回思い出します。
好き嫌いがわかれる作品かもしれないけど、熱意を持って周りにおすすめしたい!
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